1988年、東京新宿に、シェークスピアを上演する劇場「グローブ座」がオープン。
隣接する建物のバーで、シェークスピア劇を愛する波乱万丈なバーテンダーが一人 ...
「マクベス」とは ...1606年頃に成立したウィリアム・シェイクスピアによって書かれた戯曲。『ハムレット』、『オセロー』、『リア王』と並ぶシェイクスピアの四大悲劇の1つ。実在のスコットランド王マクベス(在位1040年–1057年)がモデル(Wikipediaより)
雷鳴とどろく荒野に突如あらわれた三人の魔女乱舞。物語はここから始まる...
魔女たちは凱旋中のマクベスと友人バンクォウに二人の運命を暗示する。その一つ「コーダーの城主になる」という予言が現実となったとき、マクベスの心は野心のとりことなる。
マクベスは、ダンカン王に仕える身でありながら、彼を暗殺。さらにバンクォーらライバルたちを次から次へと血祭りにあげ、王位就く。魔女の予言か戯言か判別できない言葉に惑わされて妻の助言に導かれるまま悪事を重ねる。やがて倫理的自責から狂気に飲まれ、暴君となり暴政に憤る貴族やダンカンの息子によって討たれる。
血色のカクテル「マクベス」...
ウオッカ+グレープフルーツジュース+ドランブイ
シェークしカクテルグラスに注ぎ、最後に赤いスロージンを浮かべる。
赤いスロージンは「血」を表し、マクベス夫人が手にこびりついた「血のしみ」を落とそうと、手をこすり合わせる場面から。(和田幸治 作)
※時間の経過と共に、血の如くスロージンがじわじわとグラスの底に沈み込む ...
その「グローブ座」のバーは10年ほど続けた後に幕を下ろす ...(サントリーウイスキーヴォイス第54号より一部抜粋。)
(※「マクベス」にはスコッチウイスキーと「ストレガ」、「アマレット」を使用した同名の2種類のカクテルあり。)
晩年
「昭和」を生き抜いた男 ...北新地最古参バーテンダー引退
成功は失敗、失敗は成功 ...by (和田幸治 )
※戯曲でのマクベスは、主君を殺して王位を奪い、暴政を行って短期間でその報いを受けて滅ぼされる悪人として描かれているが、実際のマクベスは17年間の長期にわたって王位にあり、また当時は下剋上がしばしば見られる時代であって、マクベスの行為も悪行とは言えず、統治の実績もあり、戯曲に見るような暴君ではなかった。
また、シエイクスピアの悲劇では、ダンカンは妻にそそのかされたマクベスの手にかかり、寝室で暗殺されたとされるが(イングランド人シェイクスピア解釈)史実ではマクベスはダンカンを戦場で倒したとされる。(Wikipediaより一部抜粋)
蛇足
1、シェークスピアに造詣の深い和田氏はシェークスピア作品、登場人物にちなんだオリジナルカクテルを多数(250種類以上とも)作られた。
2、イギリスの演劇関係者の間には、劇場内で『マクベス』の名を口にすると災いが起きるというジンクスがあり、いまでも本作を「The Scottish play」と呼びかえる者もいる。
3、マクベスの魔女の謎の言葉=「きれいは穢い、穢いはきれい」それをもじって、「成功は失敗、失敗は成功 ...」
つまり、「きれいは穢い、穢いはきれい」=完全無欠な人生を歩むには、その手を汚すしかなく、その手を汚したくなければ完全無欠な人生など歩めはしない。(私感)
マクベスでは、魔女の台詞はこう続く、
さあ、飛んでいこう、霧のなか、汚れた空をかいくぐり...
福田 恆存訳「マクベス」